毎年5月31日は、世界保健機構(WHO)が定めた「世界禁煙デー」です。
タバコには5300種類以上の化学物質が含まれており、そのうちの70種以上が発がん性物質です。
そして、体の中で最初に喫煙の影響を受けてしまうのが「お口の中」になります。
そこで今回は、そんな「タバコとお口の健康」についてお話しをさせていただきます。
★★★ 喫煙すると『歯周病』になりやすい理由 ★★★
喫煙習慣のある人は歯周病になりやすく、さらに治療の効果が出にくいため、悪化しやすい傾向にあります。
【理由①】血流が悪くなる

タバコに含まれる有害物質には、血管を収縮させて体の血流を悪く
してしまう作用があります。
当然、歯ぐきの血流も悪くなるため、歯ぐきに十分な酸素が行き届
かなくなり、歯ぐきの回復力が低下して、炎症などが治りにくくなっ
てしまいます。
【理由②】

喫煙は体の免疫力を低下させてしまいます。
よって、歯周病菌に対する抵抗力も低くなるため、喫煙習慣がある
人は歯周病が進行しやすくなります。
【理由③】
タバコに含まれるニコチンには、歯周病菌の発育を促し、さらに病
原性を高めることもわかっています。
【理由④】
歯ぐきの赤み、腫れ、出血などは歯周病のサインのひとつになります。
しかし、喫煙をしている人の歯ぐきは血行が悪いため、こういった
歯周病のサインが現れにくく、歯周病の発見が遅れがちになってしま
います。
★★★ 喫煙すると『むし歯』になりやすい理由 ★★★
さらに、喫煙はむし歯のリスクも高めてしまいます。
【理由①】
タバコに含まれるニコチンによって唾液の分泌量が低下すると、唾
液が持っている殺菌作用や、お口の中を洗い流す自浄作用などが低
下して、むし歯にかかりやすくなります。
【理由②】
タバコには、ヤニと呼ばれる油脂が含まれていて、これが歯の表面
にも付着します。
ヤニはベタベタしているため、歯垢が付着しやすく、お口の中がむ
し歯菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
★★★ 受動喫煙でも同様のリスクがある! ★★★

国立がん研究センターの「多目的コホート研究」によると、男性の喫煙者の歯周病リスクは、非喫煙者で受動喫煙
もない人の約3.3倍になるそうです。
また、非喫煙者でも、受動喫煙をしている人の歯周病リスクは、受動喫煙のない人と比較して3.1~3.6倍という
結果になったそうです。
つまり、男性はタバコを吸っていなくても、受動喫煙によって喫煙者と同様の歯周病リスクがあるということです。
一方、女性は喫煙と歯周病との間に関連は認められませんでしたが、そもそも女性は調査において、喫煙者の割合が
非常に少なかったため、正しい比較検討が行えなかったとの指摘も。
◇◇◇ 加熱式タバコ・電子タバコでの影響は? ◇◇◇

加熱式たばこや電子タバコは、発売から月日が浅いため、健康への影響はまだ明らかになっていません。
しかし、紙巻きたばこと同様にニコチンやタールは含まれています。
加熱式たばこや電子タバコは、もしかしたら紙巻きたばこよりも健康への影響は低くなるかもしれませんが、影響は
ゼロではありませんので、ぜひ禁煙を目指しましょう!