皆さんは、歯ぎしりをするクセはありますか?
歯ぎしりは睡眠中にしていることが多いため、自覚できている人は少なく、家族などに指摘されて気がつくケースが大半です。一種のクセである歯ぎしりですが、近年「逆流性食道炎の人は歯ぎしりをしやすい」ということがわかってきました。
そこで今回は、「歯ぎしり」と「逆流性食道炎」の関係についてお話しします。
≪「歯ぎしり」とは?≫
歯ぎしりとは、お口の中に食べ物がない状態で上下の歯を噛み合わせてしまうクセの一種です。
就寝中にギリギリと音を立てながら強い力で歯をこすり合わせることもあれば、車の運転中など、
何かに集中している時に上下の歯を接触させたり、カチカチと噛み合わせることもあります。
≪「逆流性食道炎」とは?≫
逆流性食道炎とは、胃酸が逆流して食道の粘膜に炎症が起きる病気です。
食べ過ぎた時になど、げっぷと共に酸っぱい液がこみあげてきた経験をお持ちの方もいらっしゃる
と思いますが、逆流性食道炎では慢性的にその状態が発生することで、食道の粘膜が傷ついてしま
うのです。
≪2つの関係性とは?≫
では、歯ぎしりと逆流性食道炎にはどのような関係があるのでしょうか?
【原因の一つが「強いストレス」】
まず、歯ぎしりも逆流性食道炎も原因の一つにストレスがあげられます。
歯ぎしりは、無意識下で行われるストレス発散の手段と言われ、睡眠中
の歯ぎしりが胃潰瘍予防になるという研究報告もあるそうです。
また、ストレスがあると胃酸過多になるだけでなく、胃酸の逆流を抑制
する機能も低下するため、逆流性食道炎が引き起こされやすくなります。
つまり、強いストレスを抱えている人は、歯ぎしりをしやすく、逆流性
食道炎にもなりやすいということです。
【胃酸を薄めるために「唾液を分泌」】
歯ぎしりは唾液の分泌を促します。
上下の歯をカチカチと噛み合わせてみるとわかりますが、唾液がじんわり
と出てきますよね?
この原理を利用し、逆流性食道炎の人は無意識に歯ぎしりをして唾液を分
泌させ、食道に流れ込んできた胃酸を中和しているのではないかと言われ
ています。
また、ある実験では、普段歯ぎしりをしない人の食道に酸を注入したとこ
ろ、高い確率で歯ぎしりが発生したという結果も出ているそうです。
※逆流性食道炎の中には、自覚症状がないケースもあります。「歯ぎしりをしている」と家族に指摘された場合は、逆流性食道炎にもなっていないか注意しておきましょう。