“バイオフィルム”ってご存知でしょうか?
歯科用語には歯垢・歯石・プラークなどさまざまありますが、知っているようで詳しくは知らないものも
あるのではないでしょうか?
そこで今回は、“バイオフィルム”について詳しくご紹介します。
≪バイオフィルムとは≫
バイオフィルムとは、たくさんの細菌によって作り出されるヌルヌルとした膜状のものです。
個体や液体の表面にできるものを指すため、お口の中だけとは限りません。
例えば、お風呂場の排水溝や台所の三角コーナーの掃除を怠った結果、ヌルヌルになってしま
うことがあると思います。あれもすべてバイオフィルムであり、お口の中にできたバイオフィ
ルムはこれらと差別化するために「口腔バイオフィルム」と呼ばれることもあります。
≪歯垢、歯石との違い≫
歯の表面に付着するものは口腔バイオフィルムのほかに、歯垢や歯石もありますが、この違い
は何でしょう?
【歯垢(プラーク)】
歯垢とは、むし歯菌や歯周病菌、食べカスなどが集まったものです。
歯垢1mg の中には、1億個以上もの細菌がいると言われています。
【口腔バイオフィルム】
口腔バイオフィルムとは、歯垢と同じ細菌の塊です。
では、なぜ呼び名が違うのでしょうか?
それは近年の研究で、歯垢の構造が排水溝などにできるバイオフィル
ムと同じだということがわかり、このヌルヌル状の膜を指す言葉とし
てバイオフィルムが使われるようになったためです。
【歯石】
歯石とは、歯垢が唾液中に含まれるカルシウムなどと結びついて、石
のように固くなったものです。
この歯石の表面はザラザラしているため、その上に歯垢が付着しやす
く、放置してしまうと歯石が蓄積され、歯周病のリスクを高めます。
≪口腔バイオフィルムを除去するには?≫
口腔バイオフィルム、つまり歯垢を除去するにはどうしたらよいのでしょうか?
歯垢は食後8時間たつと生成され、それを放置していると約48時間で歯石になり始めます。
歯石になってしまうと歯ブラシでは除去できなくなってしまうため、口腔ケアは次のようなポイ
ントに気をつけてください。
★ポイント1★毎食後、忘れずに歯みがきを!★
細菌のエサとなる糖分などを歯に残さないように、毎食後歯をみがき
ましょう。
食後、時間を置くうちに歯みがきが面倒になったり、忘れてしまうこ
ともあると思いますので、「食べたらすぐにみがく」を習慣づけてお
いた方がよいでしょう。
★ポイント2★歯石になる前にフロスを!★
歯ブラシの毛が届きにくい歯と歯の間、歯並びの悪いところは歯垢が
残りやすい場所です。
こういった部分はデンタルフロスや歯間ブラシなどを使って歯垢を除
去しましょう。1日1回、就寝前にこのような道具を使ってケアをす
るのが理想ですが、難しければ少なくとも2日に1回は歯ブラシ以外
の道具でもケアを!(歯石は48時間で形成されるため)
★ポイント3★プロのケアで定期的に除去!★
毎日歯みがきをしていてもできてしまうのが、みがき残しです。
こういった部分は、定期的に歯科医院で除去をしましょう。
むし歯や歯周病の予防だけでなく、お口の健康は身体の健康にもつな
がっていますので、健康管理のひとつとして歯のクリーニングや定期
健診をお忘れなく。