むし歯や歯周病などで失った後、それをそのまま放置しているとどうなると思いますか?
前歯の場合は見た目が気になるので、代わりの差し歯を入れる治療をすると思いますが、奥歯の場合はどうでしょう?
「見た目にもわからないし、意外と噛めるから放置しても大丈夫かな?」
なんて思ったりしていませんか?
そこで今回は、「歯を失った時、そのまま放置しているとどうなるのか?」についてお話しします。
★★★ 50代から歯を失うスピードが加速 ★★★
まずは歯の喪失が世代ごとにどのくらいあるのか見てみましょう。
厚生労働省が平成28年度に実施した歯科疾患実態調査によると、20代・30代で歯を失う本数は一人平均
0.1~0.3本と、この世代において歯を失うことはまれといえます。
次に、40代で歯を失う本数は平均0.8~0.9本と、少し割合は高くなるものの、まだ平均1本以下です。
しかし、安心できないのはここからです。歯を失う本数が50~54歳では平均2本に急増すると、55~
59歳では平均3.1本、60~64歳では平均4.6本、65~69歳では平均6.7本と増加の一途をたどり
ます。
★★★ 失った歯を放置していると起きること ★★★
40代くらいまでは歯を失うことの実感が湧かないかもしれませんが、50代以降になると歯を喪失する経験
をされる方が増えてきます。では、歯を失った状態をそのまま放置していたらどうなるのでしょうか?
「歯が伸びるなんてことあるの!?」
と思われるかもしれませんが、抜けた状態をそのまま放置していると、
その空いているスペースに対合している歯が伸びてきてしまいます。
これは歯が成長して伸びてきているのではなく、抜けた空間に向かって
歯が浮き上がってきている状態です。
また、歯が抜けたまま放置していると、時間の経過とともにその空間に
向かって、両脇の歯が徐々に倒れてきてしまいます。
★★★ 抜けた歯を放置しているとさらに歯を失う ★★★
歯というのは日々少しずつ動いていますが、すべての歯がきちんと揃っていることでお互いが支え合い、キレ
イな歯並びや噛み合わせをキープしてくれています。
そのため、奥歯が抜けたままの状態を放置していると、歯並びや噛み合わせに不具合が生じたり、さらに歯と
歯の間にも隙間ができたり、一部の歯に負担がかかったりして、むし歯や歯周病のリスクも高まってしまいま
す。
成人が抜歯する原因の第一位は「歯周病」、第二位は「むし歯」ですから、抜けてしまった歯を放置している
とさらに歯を失いやすくなるという、負のスパイラルに陥りかねません。
歯が抜けた時は、きちんと治療をするようにしましょう!