「8020運動」をご存知でしょうか?
これは「80歳時点で自分の歯を20本以上保とう」という、お口の健康目標のことです。
厚生労働省が実施した「令和4年歯科疾患実態調査」によると、8020の達成者は51.6%。半数以上が達成しているという素晴らしい結果ですが、一方で、高齢者のむし歯は増加傾向にあります。
★★★ 「8020運動」とは? ★★★
当時の厚生省と日本歯科医師会が提唱して、平成元年にスタートした「8020運動」。
これは、20本の歯が残っていればどのような食べ物でもほぼ問題なく噛むことができ、おいしく食事を
とれることから「80歳で自分の歯を20本残す」という目標設定がされたそうです。
遡ること40年前の8020達成者は10%以下。そこから、医療の進歩や健康意識の高まりとともに、
右肩上がりで達成率は上昇していきました。
★★★ 高齢者にむし歯が増えている理由 ★★★
8020を達成した結果、現代の高齢者には多くの歯が残っています。歯が残っていれば、むし歯になる
機会も増えるというのは当然の結果かもしれません。
しかし、年齢が上がるにつれてむし歯になりやすい理由もあります。
【理由① 唾液の減少】
唾液には、お口の中の汚れを洗い流したり、初期むし歯を修復するといった、むし歯を
予防する効果があります。
しかし、高齢になると唾液を分泌する機能が低下することに加え、持病の薬の副作用で
唾液が減少するといったこともあります。
また、唾液はよく噛むことで分泌されますが、高齢になるにつれて噛む力が弱くなって
くることから、あまり噛まずに食べられるものを好む方も増えてきます。そうすると唾
液の分泌量が少なくなって、むし歯のリスクも高まってしまいます。
【理由② 歯の根元のむし歯】
また、年齢を重ねると歯ぐきが少しずつ下がることも、むし歯が増える原因のひとつです。
歯ぐきが下がると歯の根元が露出して、ここにむし歯が発生しやすくなるのです。歯ぐ
きが下がる主な原因は、歯をみがく時に力を入れすぎてしまうこと、歯周病、歯の食い
しばりなどが原因となります。
歯の根元はとてもデリケートで、むし歯菌が放出する酸で溶けやすかったり、表面に歯
垢がつきやすい上、みがきにくかったりします。さらに、むし歯になっても痛みが少な
く、進行が早いという特徴もあります。
★★★ 高齢になってもむし歯を防ぐには? ★★★
むし歯予防は、8020の達成はもちろん、生涯にわたって食事をおいしく楽しむために必要なことです。
高齢になってもむし歯を防ぐためには次のようなことに気をつけてみましょう!
■よく噛んで食べたりガムを噛んだりして唾液の分泌を促す
■歯みがきの力加減や歯ブラシの当て方を定期的に確認する
■歯科医院でむし歯になりやすい場所をチェックする
■歯科定期検診で歯周病の予防、進行を防ぐ