予防歯科とは、むし歯や歯周病などを予防してお口の健康を守ることです。
皆さんは「むし歯で歯が痛くなってから歯医者に行く」と考えていませんでしたか?
しかし、これでは治療を繰り返すたびに歯の寿命は短くなり、結果として歯の健康を守ることができません。
そこで今回は、あなたの歯の健康を左右する「予防歯科」についてお話しします。
<日本と外国の意識の違い>
予防歯科の先進国として知られるのがスウェーデンです。
ちなみに、80歳の残っている歯の本数を比較したところスウェーデンでは平均約20本であるのに対して、
日本では約15本でした。日本人は毎食後の歯みがきを欠かさない人も多いのに、なぜこのような差が出てく
るのでしょうか?
それはやはり「予防歯科」に対する意識の違いでしょう。
かつてスウェーデンでもむし歯や歯周病に悩まされていた歴史がありましたが、自宅でのセルフケアと歯科医
院でのプロフェッショナルケアという予防歯科の意識を浸透させることで、国民全体の歯の健康維持に成功し
ました。
スウェーデン以外でも、歯の治療費が高額なアメリカやイギリスなども予防歯科が一般的です。
<自分の歯の価値>
さて皆さんは、ご自身の歯の価値をご存知でしょうか?
実は、1本の歯の価値をお金に換算すると300万円にものぼるそうです。
「歯が抜けたら差し歯をすればいい」「歯がなくなったら入れ歯がある」と思われるかもしれませんが、どん
なに素晴らしい人工の歯であっても、自分の歯に勝るものはありません。また、歯というのは削ったり抜けて
しまえば、元通りに戻すこともできません。
例えば、むし歯になって歯を削って詰め物をするということは、貴重なご自身の歯を削ってしまったというこ
とです。治療をすれば元に戻ったような気になってしまいますが、決してそうではありません。したがって、
大切なご自身の歯を守るためには、予防歯科が欠かせないのです。
<予防歯科は家庭と歯科医院で>
予防歯科は、ご自身で毎日行う家庭でのセルフケアと、歯科医院で定期的に行うプロフェッショナルケアの両
方を実践することが大切です。
★★★セルフケア★★★
日々のセルフケアでは、次のようなことを行います。
【歯みがき】
毎日の歯みがきの中でも、特に重要なのが就寝前です。
寝ている間は唾液の分泌量が低下してお口の中の細菌が増殖しやすいため、
むし歯・歯周病予防として、就寝前の歯みがきはしっかり丁寧に行いましょう。
【歯間清掃】
歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシ
を使って清掃しましょう。
1日1回、就寝前の使用が有効です。
【ガ ム】
キシリトール入りのガムを噛むことも予防歯科の一つです。
キシリトールにはむし歯の原因菌を減らす効果があり、ガムを噛むことで唾液の
分泌量もアップします。
★★★プロフェッショナルケア★★★
歯科医院で行うプロフェッショナルケアでは、次のようなことを行います。
【ブラッシング指導】
みがき残しのチェックなど、日々の歯みがきが正しくできているか確認します。
【歯石の除去】
歯周病の原因にもなる歯石を、専用の器具で除去します。
【PMTC】
歯ブラシでは除去しきれなかった歯垢などを、専用の器具でクリーニングします。
【フッ素の塗布】
むし歯予防に有効な高濃度のフッ素を塗布します。